佐賀錦の世界~古賀家を通じて 和紙と絹が生み出す伝統と創造

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 この度、佐賀錦人間国宝古賀フミが残した佐賀錦関連資料に関する研究ならびに展覧会「佐賀錦の世界~古賀家を通じて 和紙と絹が生み出す伝統と創造」(佐賀大学美術館2019年3月24-31日)の英語対訳付きバイリンガル書籍を刊行いたしました。

 

【内容】

 佐賀錦は経糸に裁断した和紙、緯糸に絹や綿を卓上機で手織りする佐賀県発祥の織物で、鹿島市では鹿島錦と呼びます。本書では古賀家に残された幕末から明治期の資料に光をあて、新たな佐賀錦・鹿島錦の歴史を紐解き、オールカラーで資料の詳しい解説を英語併記で掲載しています。

 資料には民芸運動の指導者の柳宗悦、村岡景夫が佐賀の古賀八千代(母)を訪ね、佐賀錦の発展に助力したことを物語る葉書、古賀フミの初期作品類、八千代の基礎織、文様図案等を紹介しました。また、巻末に文献一覧およびデジタル検索情報一覧を掲載しています。

 佐賀錦・鹿島錦は肥前鹿島藩鍋島直彜(1793-1826)の妻篤子(1799-1877)を起源とされ、殿中で奉公した女性達により広まったと考えられています。古賀フミの曾祖母の古賀ミスは、佐賀藩鍋島家の家臣の村田家(村田若狭)に奉公し、当時は組み錦または組物(くみもの)、組織(くみおり)と呼ばれた織物を習い、孫の八千代、ひ孫のフミへと伝承しました。古賀家には伝承された文様図案、明治期の基礎織などの教材など、幕末から平成までの佐賀錦に関する資料が残されており、本書では主だった資料を紹介しています。

 佐賀錦の名称の由来についても再検証し、東京で佐賀錦を普及させた相良良子(大隈重信の甥の妻)の証言を掘り起こし、「大隈重信が命名した」や「日英博覧会で出品した際に命名された」といった通説に対して、実は日清戦争ごろ(1894-95)に東京の伊勢新という袋物屋が名付けた「ブランド」であったこと、東京藝術大学学長の正木直彦の正木郁子が織り手として活躍したことなど、明治期における東京の佐賀錦事情についても解説しています。

 

 

 

 

 

 

著者紹介:石井美恵、佐賀大学芸術地域デザイン学准教授。

 専門は染織品保存修復科学、博物館資料保存論。北島綾子、佐賀大学芸術地域デザイン学部教務補佐員、染織作家。内田信子、旭学園理事長。元佐賀テレビアナウンサー。古谷祐子、美術専門英文翻訳家。藤原千冬、牧野恵莉聖、窪田有純、樋口智美、藤田香奈子、和田奈緒、川崎春樹(佐賀大学生(当時))

 出版社:NexPublishing Authors Press

 出版日:2021年3月31日

 価格:3000円(税込み3300円)

 販売方法:Amazon POD (プリントオンデマンド)

 販売開始日:2021年4月22日

 ISBN: 9784991169809

 分類コード:1:一般 2:単行本 3:芸術総記

 

 

【本件に関する問い合わせ先】

  佐賀大学芸術地域デザイン学部 准教授 石井美恵

  電話:0952-28-8275

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