急性骨髄性白血病に有望な新薬を開発

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 佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科の木村晋也教授、嬉野博志講師らのグループは、遺伝子のさび (メチル化異常)を取り除く新しい化合物OR-2100が急性骨髄性白血病にも効果があることを発見しました。本内容は、米国がん学会の機関紙にオンラインで5月27日に発表されました。。

 

【開発の背景】

 急性骨髄性白血病 (AML) は難治性の血液がんであり、骨髄異形性症候群 (MDS) は高齢者に多い前白血病状態を示す。これらMDS/AMLには現在、遺伝子 DNAのメチル化を阻害するアザシチジンやデシタビン(日本では未承認)が治療に使用されている。しかしこれらの薬は、連日の注射が必須であり、また毒性が強い。そのため「飲み薬で、より安全性の高いDNAメチル化阻害剤」の開発が望まれた。2017年から佐賀大学のグループと大原薬品工業株式会社、国立がん研究センター研究所(牛島俊和分野長)で共同開発を行い、すでに九州に多い成人T細胞性白血病 (ATL) には OR-2100 の効果があることを報告しているが、ATL より圧倒的に患者数の多いMDS/AMLにも効果があるか検討した。

 

【研究の内容】

 既存のデシタビンを改変したOR-2100を合成し、MDS/AML 細胞に対する効果を試験管内および動物実験で検討した。OR-2100は飲み薬としても十分効果が期待できる血中濃度に達すること、また少なくとも先行する薬剤と同等以上の抗がん作用を持ち、ゆっくりとデシタビンを放出する徐放性を有するため副作用が減ることを明らかとした。

 

【今後の展開】

 承認されれば、MDS/AMLに対する主要な薬と成りうるため、2022年を目標として臨床試験を開始する準備をしている。またOR-2100は、さらに多くの疾患に使用できる可能性があり、慢性骨髄性白血病などに対する効果も検討中である。

 

 

【教員活動DBのリンク先】

 木村 晋也  https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.69b4741e14a547d0.html

 

 嬉野 博志  https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.8e76528b108d84ac.html

 

 

 

[本件の問い合わせ先]

  佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科

  教授 木村 晋也

  TEL: 0952-34-2366、 FAX: 0952-34-2017

  E-mail: shkimu@cc.saga-u.ac.jp

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