嬉野市に温泉温度差発電の実証研究の環境を整備
佐賀大学海洋エネルギー研究センターは、令和2年度の「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業(経済産業省)」を活用した佐賀県からの研究助成事業で、温泉温度差発電の課題解決について研究開発を行い、開発技術を実証するために嬉野市に実証研究の環境整備を行いました。令和3年度から、同じく「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業(経済産業省)」を活用した佐賀県の支援を得るなどして本格的な実証研究を行う予定です。
日本の地熱資源は、アメリカ、インドネシアに次いで、世界3位のポテンシャルエネルギーを有し、地熱発電は100%国産可能な自給エネルギーとして期待されています。一方で、温泉温度差発電の課題として、発電機器内で湯の華成分が目詰まりや、冷却に水道水を使うとコスト高になるなどが懸念されています。本研究開発は、新しい発電システム(ハイブリッド温泉温度差発電システム:H-STEC Hybrid-Hot Spring Thermal Energy Conversion)を導入することにより、これらの課題を解決させるとともに、温泉での省エネ化への貢献を目指すものです。
このH-STECの研究開発は、海洋エネルギー研究センターにおいて1973年から長年研究している海洋温度差発電の研究成果とともに、海洋エネルギー研究センターが、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)と独立行政法人国際協力機構(略称 JICA)の『地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム』(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development、略称SATREPS)で得られたハイブリッドサイクル海洋温度差発電(H-OTEC)の研究成果が活かされています。
このH-STECの導入によって、①発電機器への湯の華の影響軽減、②発電時に必要な冷却水の低減などの効果が期待されます。
さらに、佐賀県が目指す再エネ分野の県内発技術、県内企業製品の強化による日本・世界の再エネ普及に貢献する「再生可能エネルギー等先進県」の推進へ貢献します。
(注)近く、現地での説明会を開催予定です。
「佐賀県再生可能エネルギー利用等基本計画」(2021年3月版)より
「佐賀県再生可能エネルギー利用等基本計画」(2021年3月版)より
実証研究のイメージ
完成した温泉温度差発電システム(佐賀県嬉野市)
【本件に関するお問い合わせ先】
佐賀大学海洋エネルギー研究センター
Tel:0952-20-4744 Fax:0952-20-4745
E-mail: ikegami_secretary (at) ioes.saga-u.ac.jp