ダイズ油脂に含まれるフラン酸の合成に関与する遺伝子を発見

【研究者】
 代表者:渡邊啓史(佐賀大学農学部)
 分担者や協力者:齋藤三四郎(Jーオイルミルズ)、穴井豊昭(九州大学大学院農学研究院)

      

【研究成果の概要】
 ダイズの油脂には様々な脂肪酸が含まれています。それらの一つであるフラン酸はフラン環を有する脂肪酸のことで、ダイズ油脂に特徴的に含まれる脂肪酸です。フラン酸を含むダイズ油脂に光が当たると、油脂中に含まれるフラン酸から、3-メチル-2,4-ノナンジオン(3-MND)が生成され、明所臭と呼ばれる枯草様の不快臭の原因になることが明らかになっています。
 佐賀大学とJ-オイルミルズ、九州大学では、ダイズ油脂中のフラン酸含量が減少した突然変異系統を利用して、ダイズ油脂中のフラン酸の合成に関わる遺伝子を世界で初めて発見しました。本研究の成果は明所臭の発生が少ないダイズ品種の開発に利用できます。

【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】
The Plant Journal
Article DOI: 10.1111/tpj.16560

【今後の展開】
 フラン酸を含まないダイズ油脂は光酸化による明所臭(枯草様の匂い)の発生が抑制されることから、油脂だけではなくマヨネーズやドレッシングをはじめとしたダイズ油脂を使用する商品の品質改善に役立つと期待されます。今回発見されたフラン酸合成に関わる遺伝子を利用することで、油糧作物としてのダイズの価値を高めた品種の育成が可能になります。

【その他PRしたい特記事項】
 佐賀大学農学部ではダイズ油脂に含まれるオレイン酸含有率を高めた国産ダイズ品種「佐大HO1号(品種登録第29603号)」を育成しています。高オレイン酸とフラン酸を合成しない両方の性質を併せ持つダイズ品種はダイズ油脂の持つ劣化による問題点を解決し、高い酸化安定性や明所臭の発生が抑えられたダイズ油脂の製造に役立つと期待されます。


図1 ダイズ油脂中に含まれるフラン酸がもたらす影響

 


図2 ダイズ油脂に含まれるフラン酸含量が低下した突然変異系統と原因遺伝子の同定

 


図3 低フラン系統のダイズ油脂がもたらす品質の向上の効果

 


図4 ダイズ油脂が抱える油脂の劣化によって生じる問題点とその解決方法

 

【教員活動DBのリンク先】
https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.b7f3c2aa04a4645159c123490551be02.html

 

【本件に関する問い合わせ先】
〈研究に関すること〉
 佐賀大学 農学部 准教授 渡邊 啓史(ワタナベ サトシ)
 TEL:0952-28-8741
 E-mail:nabemame@cc.saga-u.ac.jp

 株式会社J-オイルミルズ 研究開発センター イノベーション開発グループ 
 肥山 恵理奈 
 TEL: 045-503-2624 FAX: 045-504-5315

 九州大学大学院 農学研究院 教授 穴井豊昭(アナイ トヨアキ)
 TEL:092-802-4536 FAX:092-802-4536
 E-mail:anai.toyoaki.494@m.kyushu-u.ac.jp

〈報道に関すること〉
 佐賀大学 広報室
 TEL:0952-28-8153 FAX:0952-28-8921
 E-mail:sagakoho@mail.admin.saga-u.ac.jp

 九州大学 広報課
 TEL:092-802-2130 FAX:092-802-2139
 E-mail:koho@jimu.kyushu-u.ac.jp

 株式会社J-オイルミルズ 経営推進部 広報・IRグループ
 TEL:03-5148-7103
 E-mail:pr@j-oil.com

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