海苔の色を左右する色素量を有明海全域のノリで定量
【研究者】
代表者: 佐賀大学農学部 准教授 木村圭
分担者や協力者:佐賀大学大学院農学研究科(修了) 清水麻帆
佐賀大学農学部 助教 吉田和広
【研究成果の概要】
佐賀県が誇る有明海は、海苔の一大産地です。海苔の品質評価には、黒い色調が重要視されています。一方、海苔の製品化には、生ノリを板状の海苔へと加工が必要ですが、実際の養殖ノリがどの程度、製品海苔の色に反映されるかわかっていませんでした。有明海全域から採取したノリを漉いて、板海苔を作成し、生ノリと板海苔の色素量を調べたところ、加工時の光・熱により、黒味の強い生ノリ試料では色素が少なくなりますが、養殖ノリの色が板海苔の色にも反映されることを明らかにしました。有明海の養殖ノリと板海苔の色を決める色素量を初めて定量した初めての研究となりました。
【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】
掲載雑誌名:藻類 72号 89―96頁
発表論文題名:スサビノリ葉状体から乾海苔への加工過程における光合成色素量の変化
著者:清水麻帆1、吉田和広2、木村圭2
(1佐賀大学大学院農学研究科、2佐賀大学農学部)
【今後の展開】
現在のノリの加工では、成形したノリを熱風にさらして乾燥させ、板海苔にします。本研究で、熱風により緑色の色素であるクロロフィルaが分解を受けていたため、色調の良い養殖ノリの色を直接反映できるノリ乾燥機の開発につながります。また、例えば色調が良好でない「色落ち海苔」の陸上の施設で色上げする等の技術開発の際に、どのように色上げをすればよいかの指標を与えることが期待されます。
【その他PRしたい特記事項】
本研究を実施するにあたり、佐賀大学川村嘉応招聘教授、佐賀県有明水産振興センター、佐賀県有明漁業協同組合よりデータおよびノリ試料の提供を受けました。また、本研究は、佐賀大学のプロジェクト「地域の農水圏生物生産・利用技術等の高度化」および「地域特化型農水産研究開発による佐賀地域の一次産業の安定化と振興」の支援、JSPS 科研費22K05801 の助成を受けて実施されました。
【教員活動DBのリンク先】
木村圭:https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.66dc9d20979d5449.html
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学農学部准教授 木村圭
Tel:0952-28-8496
E-mail:kimurak@cc.saga-u.ac.jp