さまざまな色の海苔のビタミン量を定量 ノリの高付加価値へ
【研究者】
代表者: 佐賀大学農学部 准教授 木村圭
分担者や協力者:佐賀大学大学院農学研究科(修了) 古賀千優
佐賀大学大学院農学研究科(修了) 清水麻帆
佐賀大学農学部 助教 吉田和広
三重大学大学院生物資源学研究科 助教 水谷雪乃
【研究成果の概要】
佐賀県が誇る有明海は、海苔の一大産地です。海苔の品質評価には、色調が重要視され、淡い色調のノリは色落ちノリと呼ばれています。一方、海苔にはビタミンが豊富に含まれるとされてきましたが、どのような色のノリにどれだけのビタミンが含まれているかはわかっていません。そこで、有明海全域から摘採された様々な色調の乾海苔に含まれるビタミンB12とビタミンCの定量法を開発しました。ビタミンB12の含有量は、ノリの色が濃いほど多い一方、ビタミンC含有量はノリの色によらず、一定して高い数値となりました。有明海ノリのビタミン含有量は、ビタミンB12とビタミンCで色との関連は異なりましたが、色落ちノリも他の食物に比べて非常にビタミンが多いことも実証し、ビタミンがノリの高付加価値化につながるような研究となりました。
【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】
掲載雑誌名:藻類 72号 151―156頁
発表論文題名:海苔の光合成色素とビタミン含有量の関係
著者:古賀千優1、清水麻帆1、吉田和広2、水谷雪乃3、木村圭2
(1佐賀大学大学院農学研究科、2佐賀大学農学部、3三重大学生物資源学研究科)
【今後の展開】
近年、有明海では、赤潮による海水の栄養不足が継続し、ノリの色落ちが顕在化してきました。色落ちノリは、価格がつきにくく、他の活用法ができれば、ノリ色落ち問題の軽減の道筋を示すことができます。今回の研究では、ビタミンを付加価値として、色落ちノリを含む有明海ノリの利活用の道を開くような研究となりました。
今後は、さらに色とビタミンの研究を展開するだけでなく、ノリのビタミンを利用した食品利用や産業振興につながっていく可能性を秘めています。
【その他PRしたい特記事項】
本研究を実施するにあたり、佐賀大学川村嘉応招聘教授、佐賀県有明水産振興センター、佐賀県有明漁業協同組合よりデータおよびノリ試料の提供を受けました。また、本研究は、佐賀大学のプロジェクト「地域の農水圏生物生産・利用技術等の高度化」および「地域特化型農水産研究開発による佐賀地域の一次産業の安定化と振興」の支援、JSPS 科研費22K05801 の助成を受けて実施されました。
【教員活動DBのリンク先】
木村圭:https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.66dc9d20979d5449.html
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学農学部准教授 木村圭
Tel:0952-28-8496
E-mail:kimurak@cc.saga-u.ac.jp