令和元年度佐賀大学9月期学位授与式式辞
ただいま、学士、修士及び博士の学位を授与された皆さん、佐賀大学を代表して心からお祝いを申し上げます。
特に留学生の皆さんは、母国を遠く離れ、言葉や習慣の異なる困難な環境の中でも真摯に勉学に励み、見事学位を取得されたことに深く敬意を表します。また、これまで皆さんを多方面で支えてこられたご家族の皆様にも、お祝いとお礼を申し上げたいと思います。
本日、本学を卒業・修了する皆さんは、就職や進学などそれぞれ新たな一歩を踏み出すことになりますが、現代社会は変化し続ける時代、「不確実性の時代」と呼ばれるほど、大きな転換点に差し掛かっています。
皆さんが在学したほんの数年の間にも、IoTに代表される情報通信技術は目覚ましい速さで発達し、様々なビッグデータがAIによって解析され、私たちの生活をより快適なものへと導こうとしています。
また電子マネーの普及がもたらすキャッシュレス経済の到来も、これからさらに波及し、社会に大きなインパクトを与えていくことでしょう。
このような中、皆さんは予想もしない困難に直面し、先が見えない苦しい状況に頭を悩ませる日が来るかもしれません。連鎖的に続く技術革新は、日々の生活様式まで変化させ、否応もなく私たちに適応を迫ってくるからです。
しかし、決して恐れることはありません。本学医学部の顧問であった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生は、生前「人生とは未知の自分に挑戦すること」と仰っておられました。
未来がわかりやすく手元に届くのを待つのではなく、自ら歩みを進め、思い描く未来を創り出すことに挑戦していく。私はそのような卒業生、修了生の姿を期待しています。
心に留め置いてほしいのは、皆さんは本学で確かな知識と経験を培い、苦楽を共にした同輩達、恩師を得るに至ったことです。それは学生生活を通して手にし、今後の人生において大きな支えとなる大切な財産です。
その存在を忘れることなく、未来に挑戦してほしいと思います。
最後になりますが、本学はこれからも地域における知の拠点として、構成員が一丸となり、地域に求められる大学づくりを進めていきます。それは私と皆さんの後に続く教職員、在学生たちが佐賀大学の歴史を紡いでいくからです。
皆さんには、その歴史の一員であったことに誇りを持ち、生涯にわたって見識を深め、自らを高める努力を継続されることを祈念します。そして母校への愛情を忘れず、これから温かく見守っていただくことをお願いしまして、式辞といたします。
激動の社会に柔軟に対応し、大きく成長した皆さんと再会できる日を楽しみにしています。本日は誠におめでとうございます。
令和元年9月25日 国立大学法人佐賀大学長 宮﨑 耕治