平成17年度佐賀大学学位記授与式式辞
教育学部および 文化教育学部 | 254名 |
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経済学部 | 256名 |
医学部 | 163名 |
理工学部 | 492名 |
農学部 | 152名 |
計 | 1,317名 |
教育学研究科 | 44名 |
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経済学研究科 | 14名 |
医学研究科 | 16名 |
工学系研究科 | 199名 |
農学研究科 | 37名 |
計 | 310名 |
医学系研究科 | 5名 |
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工学系研究科 | 19名 |
計 | 24名 |
学位を授与された皆さん、皆さんの自信に満ちた笑顔を拝見しますと、喜びと満足感で会場が包まれているようです。本日はまことにおめでとうございます。 また、ご参列いただいています保護者の方々、学位取得に支援されてきた皆様、今日の日を迎えて感慨もひとしおと推察いたします。お祝い申し上げます。 私ども佐賀大学役職員一同、皆様の期待に応えることが出来たものと安堵しております。教育に携わるものの冥利を覚える一時であります。
本日学位を授与された皆さんはそれぞれの学部あるいは研究科で専門的な知識と技術を学んできました。明日から皆さんは社会の一員として、新人らしい活力に満ちた活躍をされることを期待しています。 21世紀は大量の情報が満ち溢れ、しかもそれらの情報が極めて速く伝わる、情報化の世紀として幕をあけました。皆さんを取り巻く政治、経済をはじめ社会は世界的な規模で激しく変動しています。皆さんは、大学で修得した知識と技術を駆使して、大量の情報の中から必要な情報を引き出し、現状を正しく認識する能力を養わねばなりません。情報の流出をはじめ情報化社会のモラル・倫理、ルールの確立は未だ程遠く、それがゆえに不安定な情報化社会に引きずられることのないように、皆さんは絶えず自らの存在を確認し自らをコントロール出来る姿勢を維持してください。
20世紀は科学技術が社会を引っ張ってきました。20世紀の前半は、日本、欧米の先進諸国と呼ばれる国々の経済的、政治的、軍事的な覇権に基づく科学技術の開発競争でした。この競争は世界を巻き込む2度の戦争を招き、当時の物理学の優れた研究成果は原子爆弾などの兵器に繋がりました。20世紀後半は、宇宙開発を契機としたコンピューターの大開発を経て、インフォメイション・テクノロジー,バイオ・テクノロジー、ナノ・テクノロジーの分野で国家間の競争が21世紀の現在も続いています。 最近、科学論文の捏造、盗作など、科学者の道徳観が話題となっています。国家プロジェクトの厳しい開発競争によるものと推測されます。情報化時代の今日、一つの捏造論文の影響は世界的規模で広がり、多くの研究者、国家プロジェクトに莫大な被害を与えます。もともと、研究とは自らの探究心に基づくものであり、自らを自由に解放して行う作業です。研究に行き詰まったとき、この研究の原点に戻ってください。 一方、科学技術の負の遺産として、人口問題・食糧問題、資源・エネルギー問題、健康・福祉問題、環境問題が蓄積されてきました。人類が自ら産み出したこれらの諸問題を解決せずに21世紀の未来はありません。皆さんは、医学、理学、工学、農学等の理学系諸分野、哲学、倫理学、心理学、社会学、法学、経済学等の文系諸分野をそれぞれ学んできました。皆さんは共に力を合わせ、世界の人々と協力して、これらの課題に取り組んでください。とくに、科学技術の適用にあたって、それがもたらす利益とリスクを広い立場から判断しながら新しい学術的仕組み、システムを検討する必要があります。さらに社会制度や経済の仕組み、生活様式、自然環境・人類の生存に与える影響などを広く考察することが必要です。
私は、旧佐賀大学と佐賀医科大学の統合に際して、「新佐賀大学の理念は、世界を俯瞰する多元的・複眼的な視点に立ち、人類が自然と調和のとれた営みを続けるために「知」の継承と創造を担う役割と責任を果たす」と締めくくりました。統合後3期目の卒業生、修了生にあたる皆さんは母校の理念を具現化する先陣の役割を担っていただくことになります。 21世紀こそ平和で豊かな社会が実現することを願っています。21世紀に人生のピークを迎える皆さんに期待いたします。
平成18年3月23日
佐賀大学長 長谷川 照
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