平成30年度国立大学法人佐賀大学入学式告辞
本日、入学式を迎えた1,724名の新入生の皆さん、そして、本学で学ぶため海外から留学してきた交換留学生の皆さん、佐賀大学を代表し心から歓迎いたします。ご臨席頂きましたご家族の皆様は、万感の思いで本日を迎えられたことと存じます
これまで心身両面で新入生を支えてこられた皆様に敬意を表するとともに、無事に今日の日を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
併せて、平素より本学を篤くご支援頂いている佐賀大学同窓会の会長の方々をはじめ、ご多忙の中で足を運んでくださったご来賓、また関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
さて、本日入学された皆さんは、今の心境はいかがでしょうか。入学したことへの充実感や安心感、これからの生活への期待や不安、そしてほんの少しゆっくりしたい気持ちもあるでしょう。これまでの生活と比べ、何がどう変わるのか予想できていない面もあるかもしれません。
ここで、皆さんに本学への入学によって、どのような立場を得たのか少し考えていただきたいと思います。
皆さんは佐賀大学への入学を、本日この場に立つことを自らの意志で選択されたでしょうか。誰かに薦められて、という方もいるかもしれませんが、基本的には、本学で勉学に打ち込むことを自分自身の責任の下で選択したのです。
そして18歳を迎えた者に社会が選挙権を与えたのと同様、主体的に学び、成長することが期待できると本学が判断した皆さんに、私は先ほど入学を許可いたしました。
これから皆さんは受け身の「生徒」ではなく、一人の自立した「学生」として大学生活に臨むことになります。そして、その覚悟を持つことを本学は求めています。
皆さんの正面、日の丸とともに掲げられた国立大学法人佐賀大学の学旗が見えるでしょうか。皆さんはこの旗の下に集い、今日からこの旗の下で研鑽を積み、社会へはばたく準備を整えていくのです。
そしてこの学旗のもと、私とともに壇上に並んだ方々が見えるでしょうか。皆さんを取り巻く環境を整備し、皆さんの学生生活を支えていく各部局の責任者、そして皆さんの将来に期待をかけ、応援してくださる方々です。そしてこの方々を筆頭に、皆さんの入学を祝福する多くの教職員と先輩達が、それぞれのキャンパスで皆さんを心待ちにしています。
次に皆さんの足下を見てください。佐賀の地は今から150年前、混迷を極めた幕末から明治維新期に、日本の近代化を牽引した多くの偉人を輩出した人材養成の先進地でありました。本学はそうした先人に敬意を表し、現代の地域社会を牽引する人材養成拠点となることを目指しています。皆さんには、日本の近代化を推進したこの佐賀の地で学ぶことに矜持を持ってほしいと思います。
皆さんの周りを見回してください。皆さんと志を同じくし、これから同じ学び舎で切磋琢磨する同輩たちの顔が見えるでしょう。苦しみも喜びも分かち合い、人生で最も密度の濃い時間を共に過ごす朋輩、生涯の友と成り得る仲間たちを大切にしてほしいと思います。
皆さんの過去を振り返ってみてください。家族や恩師、友人など、これまで皆さんを支え、背中を押してくれた存在が思い起こされるはずです。この方々の温かなサポートを受けて今の自分があること、その感謝の気持ちを胸に刻み、大学生活を送ってほしいと思います。
そして最後に、皆さんの手を見てください。今日、皆さんは大学生という身分と、決して短くない時間を得るに至りました。しかし皆さんはまだ何者でもなく、その手にはこれから獲得するであろう知識や技術の「可能性」しか掴んでいません。
皆さんが何者になるかは、一日24時間という平等に与えられた時間の使い方にかかっており、いかに効率よく、何を学ぶか、研鑽を積むかにかかっています。
変化し続ける現代社会の中では、自分でも想像もしなかったような充実した人生を送る可能性を十分に秘めていることを、これまでの卒業生が証明しています。
本学は、6学部5研究科を擁する県内最大の国立総合大学として、教育・研究・社会貢献活動を行い、美術館、附属病院、附属学校・園を有し、一部上場企業を学内に誘致するなど特色ある大学づくりを進めています。
今、社会は急速に変動しつつありますが、皆さんが卒業する頃にはさらに激変していると予想され、例えばキャッシュレスは当たり前となり、事務作業の多くが自動化され、皆さんの就職のご相談は人工知能が相手します。
IoE化すなわち身の周りすべてがインターネットで繋がる時代に入っていくわけですが、これにより膨大な量のデジタルデータが蓄積します。このデータを適確に解析し、活用することにより、その領域のトップランナーになることが可能です
今もその競争は既に始まっているのですが、今後あらゆる領域に拡大することを考えると、皆さんは学部を問わず、この技術を学ぶことでそれぞれの領域で必要とされる人材となりうるでしょう。佐賀大学はこのインターネットデータを解析する技術やそれを活用するためのプログラム化する技術教育を重視し、全学部の学生が学べるカリキュラムを用意しています。各学部で専門領域の学問を学ぶことは当然重要ですが、激変する社会で活躍するためには、多様性を身につけることも大事です。
本学ではこれ以外にも副専攻プログラムとして社会に出た後、役に立つと思われるカリキュラムを選択できるよう全学教育機構教育の中で用意しています。一日24時間ということだけは、皆さんはもちろん、人類にとっても平等です。これを活かすか無駄にするかはこれからの皆さん各自にかかっています。人生100年といわれる長寿社会で、卒業後の人生を有意義に過ごすためには、今からの4年ないしは6年の大学生活が大きな決定因子となることを心に刻んで下さい。
第4次産業革命が既に始まったといっても過言ではない、想像を超える速さで変化し続ける社会の中で、柔軟に対応する将来の自分の姿を思い描き、より良い選択をしてほしいと願っています。その選択ができると期待される皆さんを、本日お迎えできたことを学長として嬉しく思います。
皆さんが本学の一員としての誇りと自覚を胸に有意義な学生時代を送り、本学から社会、そして世界へと雄飛することを祈念し、告辞といたします。
本日は誠におめでとうございます。
平成30年4月3日
国立大学法人佐賀大学長 宮﨑 耕治
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